乳腺疾患について(乳腺外科)

本院は日本乳癌学会認定の乳腺専門施設です。
私たち乳腺外科は日本乳癌学会認定の専門医を中心に構成されており、検診マンモグラフィ読影の認定習得や超音波講習会受講などの実績を積んでいます。
乳がんを中心とした乳腺の病気に対し、最先端の検査と治療を行っています。

1.乳房の症状にあわせた診療を行なっています。
乳腺の病気を中心に診療を行なっています。
乳房に関する症状やお悩みをお持ちの方や乳がん検診で精密検査が必要とされた方を対象に診察を行います。
乳がんと診断された場合には、出来るだけ体にやさしく、かつ効果的な治療をお薦めします。
手術は乳房温存手術を受けられている方が多いですが、がんの拡がりが広い場合は乳房切除となります。
ただし、シコリが大きく温存手術が不可能な場合でも、患者さまの希望により手術の前に抗がん剤やホルモン剤などで治療を行うことでシコリが小さくなれば温存手術が可能となる場合もあります。
また、乳房切除の場合には、形成外科による美容的に美しい乳房再建も可能です。
乳がん術後の後遺症として腕のむくみ(リンパ浮腫)がありますが、センチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清を省略できれば、リンパ浮腫の発生頻度が低くなります。
術後は、乳がん根治を目指して薬物療法を個々の患者さまに即して行います。

2.乳がんの手術は短期間の入院で可能です。
乳がんの手術を受けられる場合、全身麻酔の準備のため、手術の2日前に入院していただきます。
手術のあとは、腋窩リンパ節郭清を行わない乳房部分切除の場合、2~3日程度でも退院は可能ですが、乳房を全摘する手術や腋窩リンパ節郭清、乳房再建などの手術内容によっては1週間から3週間程度になることもあります。

3.セカンドオピニオンを受け付けます。
ご希望があれば他院で治療を受けている患者さまのセカンドオピニオンを受け付けます。

取り扱っている主な疾患

悪性腫瘍

乳がん
初期の段階では何の症状もなく、検診で発見される場合もありますが、乳房のしこり (乳房腫瘤)や血性乳頭分泌、乳房痛を自覚することもあります。
乳がんのタイプや進行度で治療法が個別化しており、乳がんの生物学的性質、がんの進行度で治療法(手術、放射線、薬物)を決めていきます。

 

良性腫瘍

線維腺腫・葉状腫瘍
若い女性に多い疾患です。一般に線維腺腫と葉状腫瘍の鑑別は難しく、手術後に確定診断がつくこともあります。
葉状腫瘍は時に悪性の場合もあります。
痛みのない単発の乳房腫瘤をふれることが多いです。
乳がんと比べると柔らかく可動性も良いことが多いですが、触診では乳がんと見分けがつきにくいこともあります。
希望により摘出することもできます。

乳腺症
乳房痛が主症状で、乳房腫瘤をふれることもあります。
乳房痛は月経周期に連動して症状が出ることも多く、症状に波があることが多いです。
自然軽快してくることが多いですが、何年も続くこともあります。

乳管内乳頭腫
乳管の中に発生する良性腫瘍で乳頭からの血性乳頭分泌が特徴です。
血性乳頭分泌の多くはこの疾患ですが、乳がんでも同様の症状が出ることもあり、鑑別することが重要です。

乳腺炎
多くは授乳期に起こる乳腺の炎症です。
多くは抗生物質投与、乳房マッサージ等で軽快していきますが、悪化すると乳腺膿瘍(膿が貯留している状態)になり長い間処置が必要になる場合や乳腺炎を繰り返しす場合などもあります。

 

当院で行っている乳腺疾患精査目的の検査

マンモグラフィ
乳房を挟んでレントゲン写真を撮影して乳腺の異常の有無を調べます。
X線検査室で技師に撮影してもらいます。授乳期や若年者には不向きです。また、妊娠されている女性では撮影は行いません。

穿刺吸引細胞診
超音波で確認できた乳房の病変の細胞を調べる検査です。
超音波検査のあと、超音波で病変部を見ながら、皮膚から針を穿刺して細胞を採取します。

針生検・マンモトーム生検
組織を採取する目的に行います。皮膚と採取したい部分に充分に局所麻酔を注入して痛みを除去します。
針生検はボールペンの芯くらいの太さの針を刺入してバネ式に針が飛び出るデバイスを用い組織を採取します。
マンモトーム生検はストローくらいの太さの針を刺入して吸引をかけながら組織を採取していきます。

乳管造影
乳管の状態を調べる検査です。特に乳頭から血性の分泌液がでる方に行います。
乳頭付近に局所麻酔をして乳頭分泌を認める乳管口(穴)を広げる処置を行った後、乳管口から造影剤を注入し、マンモグラフィを撮影します。

ステレオガイド下マンモトーム生検
組織をとって調べる検査です。多くはマンモグラフィで石灰化病変だけが写る方に行います。まず、マンモグラフィで採取したい石灰化病変を同定し、乳房を挟んだままマンモトーム生検を行います。

手術数 (2012年)

乳腺疾患
計194件
乳がん
計157件
乳房部分切除術、センチネルリンパ節生検
68件
乳房部分切除術
9件
乳房切除術、センチネルリンパ節生検
25件
乳房切除術
9件
乳房部分切除術、腋窩リンパ節郭清
16件
乳房切除術、腋窩リンパ節郭清
30件
その他の乳腺疾患
計37件
乳房腫瘤摘出術
33件
乳管腺葉区域切除術
4件

当科における乳がん手術術式の変遷

20年前と比べて現在は乳房温存術 (乳房部分切除術)が主流になってきました。最近の温存率は60%前後になっています。

乳房温存術

術式別 切除方法と手術後の創部

1,乳房温存術 (乳房部分切除術)
腫瘍とその周りの乳腺も合わせて部分的に切除していきます。

乳房温存術乳房温存術

皮膚を切開し、上図の様に乳腺を部分的に切除します

乳房温存術藤田保健大学病院

2. 乳房切除術(全摘)の場合   

乳頭乳輪と腫瘍直上の皮膚も合わせて切除します。

乳房切除術乳房全摘

大胸筋は温存して乳頭を含む全ての乳腺を摘出します。 直線の皮膚切開線になります。

藤田保健大学病院ブレストセンター

3,乳房切除術+乳房再建術の場合(切除と同時に再建を行う場合

1,乳頭温存の場合

ブレストセンター

乳房外側に切開線を入れ、乳房切除します。切開線は正面からは目立ちにくくなります。

2,乳頭乳輪切除とともに乳房を切除する場合

乳房外側に切開線を入れ、乳頭乳輪とともに乳房を切除します。欠損した乳輪部分は再建組織の皮膚を使用し 補います。

1608例の乳がんの5年生存率
: ステージ
0期  100.%                                                           
Ⅰ期  98.7%                                                           
Ⅱ期  91.8%                                                           
Ⅲ期  67.9%                                                           
Ⅳ期  33.2%